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茨城県動物指導センターに行ってきました

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photo by 半沢 健

平成17年度から8年間、犬の殺処分数ワースト1位であった茨城県。ですが、ここ数年殺処分0を達成しています。
そんな茨城県ですが、今年2月に県内で多頭飼育崩壊があり、茨城県動物指導センターに多数の犬を収容したことから、収容頭数が限界になり、殺処分再開を検討する事態となりました。
しかし、茨城県動物指導センターに登録している保護団体・個人活動家の皆さんの協力により、多くの犬が引き出され、殺処分を回避することができました。
現在の状況を知るべく、茨城県動物指導センターに事務局スタッフが行ってまいりましたので、ご報告いたします。

茨城県動物指導センター(以下「センター」という。)では、いくつかの建物で犬猫を収容しています。

最初にセンター長の小森さんからセンターの事業内容や処分状況、収容数を減らすために努力されている点等について伺いました。
第一に、収容数を減らすためにセンターとして、ふれあい教室の実施、また、成犬については、県内在住の方であれば直接譲渡も可能になっています。
※成犬の譲渡条件はHPをご覧ください。
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/doshise/aigo/jyoutokaikopi-.html
※子犬・成猫・子猫は登録ボランティア経由での譲渡となります。
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/doshise/kanri/20190418.html

第二に、最近 話題になっている多頭飼育、(県によって異なりますが)茨城県では県の条例で犬猫10頭以上の飼育者は行政への届け出が義務付けられています。

その後、吉田さん、有嶋さんに動物棟を案内いただきながら、犬猫の収容状況や管理方法等について伺いました。

茨城県では、県内各所から捕獲等の依頼があり、毎日5台の捕獲車が出動し、住民からの苦情対応や野犬・遺棄された動物の捕獲・保護を行っています。
捕獲・保護された犬猫は、今回事務局スタッフが見学した、動物棟に収容されます。

<猫の収容について> 収容頭数:約60頭(2023.6.29時点)
猫は、子猫と成猫で収容場所が分かれており、幼猫は体調や体重により別々に管理され、離乳食が食べられるようになるとケージに移されます。
特に乳飲み子は3~4時間ごとにミルクを与え、子猫の管理は、ミルクボランティアの預かりのほか、休日は職員が交代で命を繋いでいます。
成猫は、収容捕獲後 血液検査、その結果により病気のある個体は病気ごとに、それぞれ部屋を分けているとのことでした。

<犬の収容について> 収容頭数:約160頭(2023.6.29時点)
犬も同様に収容場所がいくつかに分かれています。

現在 犬が収容されている施設は、元々長期保管するために作られた施設ではなく、以前は収容した犬を殺処分するための施設でした。
しかし、現在 殺処分を行っていないため、犬たちがセンターで過ごす時間が長くなりました。咬み癖があったり、人馴れしていないなどの理由で引き出しが困難で2年以上収容されている犬がいます。
保管されている動物たちが可能な限り過ごしやすい環境を作るため、予算の関係上難しい場合もあるものの、少しずつ設備を整えており、現在ではエアコンも導入できています。
しかしながら、狭いケージの中で一日の大半を過ごすことは、犬たちにとってストレスが溜まるのではないかと感じました。

 

センターが今後取り組みたいことは何か伺ったところ
・子猫の収容を減らすにはTNRを徹底する必要がある。
・収容されてくる成犬の中には、飼育者がいると思われる犬も多くいる印象。そのうち戻ってくるだろうという考えや、番犬として外飼いの方も多く、飼い方等に対する県民の意識を変える必要がある。
・野犬対策は人への被害も考え、センターの方で対応していくしかないと思っている。
と答えてくださいました。

 

最後にコメントをいただきましたので、ご紹介します。
「センターにずっといることが幸せでないと思っています。犬も猫も人と一緒にいることで幸せになれる生き物であると思うので、私たちは新しい飼い主さんと犬猫を繋ぐ役割を果たしいと思います。(小森さん)」
「収容されないことが一番です。動物を欲しいと希望する人は、飼育に必要な費用(医療費、食費、保険料等)やケア等 将来的な苦労を見据えて、家族として迎え入れて欲しいと思います。(吉田さん)」

また、職員の皆様は、現在、殺処分を実行しない状況を維持しているのは、センターに登録している保護団体・個人活動家の皆さんの協力があるからと、感謝されていました。

今回 実際に訪問し取材をしてみて、センターの職員さんの努力や工夫を感じるところが多くありました。
しかしながら、収容スペースの過密さや現在収容されている犬たちの飼育環境の改善、県民の飼い方や伴侶動物に対する考え方の意識改革等、まだまだ課題が多くあると感じました。
当財団としても、今回の訪問を元に自分たちの啓発活動に活かせるようにしてまいりたいと思います。

茨城県動物指導センターの皆様、お話を伺わせていただきありがとうございました