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【新ボルネオ通信】第2回:ボルネオ島の豊かな自然を脅かす問題について

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photo by 半沢 健

当財団は、設立時より、認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンさんの活動に賛同し支援を続けてまいりました。

2023年5月より、新たな試みとして、ボルネオ保全トラスト・ジャパンさんと一緒に「ボルネオ通信2023」をシリーズで発信してまいります。

このシリーズでは、ボルネオのこと、ボルネオが直面している問題、問題に対するボルネオ保全トラスト・ジャパンさんの活動、そして当財団が行っている支援などなど、幅広く発信予定です。
ボルネオの問題には、知らず知らず私たちも関わっています。
シリーズで発信を続けることによって、多くの方にまずはそのことを知っていただき、支援の輪が広がったら嬉しく思います。

第2回のテーマは、「ボルネオ島の豊かな自然を脅かす問題」です。

前回、簡単にですが、長く受け継がれたボルネオ島の多様な生命と貴重な自然についてご紹介しましたが、この貴重な自然が、実は今、大きな危機に直面し、悲鳴を上げています。
破壊的なスピードで開発が進んだせいで、この豊かな自然を構成する熱帯雨林が、急速に減少しているのです。
1980年代にはボルネオ島全土で75%も残っていた熱帯雨林は、現在までに約50%にまで減少したといわれています。
https://www.unep.org/news-and-stories/story/deforestation-borneo-slowing-regulation-remains-key

●熱帯雨林とは
そもそも、熱帯雨林(熱帯多雨林)とは具体的に何を指すのでしょう。
“熱帯雨林とはひとことでいうと「熱帯雨林気候帯で育まれる森林」です。熱帯雨林気候帯とは緯度5~10度あたりに分布する気候区で年平均気温は20℃以上、年間降水量は2000mm以上という高温多雨の土地で地球上では中南米、東南アジア、オーストラリア北部、アフリカ中部に位置しています。”
【出典】https://www.bctj.jp/3minutes-borneo/
ボルネオ島を含む東南アジアの熱帯雨林はもちろんのこと、中南米のアマゾンや。アフリカ中部、コンゴ盆地の熱帯雨林が有名で、これら3つをあわせて「世界3大熱帯雨林」と呼ばれます。

地図:
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rain_forest_location_map.png#/media/File:Rain_forest_location_map.png

 

●森林の役割
熱帯雨林を含めた、森林が担う役割についてご存知でしょうか。
森林の主な役割としては①地球温暖化の防止、②洪水の緩和、そして③水質浄化、などが挙げられます。

①地球温暖化の防止
地球温暖化を防止するには、温暖化への影響が大きいとされる二酸化炭素(CO2)の大気中濃度を増やさないことが需要です。森林を構成する木々は、光合成により大気中のCO2を吸収するとともに、酸素(O2)を発生させながら炭素(C)を蓄え、成長します。
つまり、森林は、大気の調節機能(CO2の吸収、Cの貯蓄)、として大きな役割を担っているのです。
【参考】https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/con_2.html

②洪水の緩和
森林がある地において、雨水は、森林がない場合に比べて、ゆっくりと川に流れ出ます。これは、“洪水の緩和機能”と呼ばれ、降雨時、川の流量のピークを低下させたり、ピークの発生を遅らせるなどの働きがあります。
【参考】https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/con_1.html

③水質の浄化
森林は、“水質の浄化機能”も担っていると言われています。“雨水が森林を通って土壌に染み込み、最後に渓流に流出するまでに、リンや窒素などの富栄養化の原因となる物質は、土壌中に保留されたり、植物に吸収されたりする一方で、土壌中のミネラル成分などがバランス良く溶け出すことにより、森林はおいしい水を作り出すと考えられます。”
【参考】https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/con_1.html

森林が減少するということは、森林が担ってきた上記の役割の担い手が居なくなることであり、その結果、地球温暖化、洪水の増加、水質の悪化につながり、生態系のバランスに影響を与えます。
森林の減少はボルネオ島だけの問題ではなく、世界中で同様に起きています。
1990年から2020までの30年間で、日本の面積の5倍にあたる178万km²もの森林が地球上から姿を消しました*。その影響は計り知れません。
*https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-5.pdf

また、元々あった森林がなくなってしまうということは、そこに生息している野生動物の住処は奪われ、個体数の減少や生物多様性の劣化がもたらされます。結果として絶滅の危機が高まるのです。

例えば、ボルネオオランウータンは数km²におよぶ広大な行動範囲を移動しながら生活しますが、アブラヤシ農園の開発にともなう熱帯雨林の大規模な減少や分断により広い森の中を自由に行き来できなくなってしまい、窮屈な生活が強いられてしまっています。
また、群れで暮らし、日常的に熱帯雨林や河岸を回遊しながら生活するボルネオゾウは、移動のためにアブラヤシ農園に入り込んでしまう状況が増えたことで、人との接触機会も増加し、農園を荒らす害獣とみなされて殺害されてしまうという悲しい事件も起きています。

オランウータンやボルネオゾウの頭数については、研究も少なく、現在発表されている頭数も推定値であることは事実です。しかし、一説によると、例えばオランウータンは、過去100年の間に、およそ80%も減少したと見られています。
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3564.html

 

次回は、ボルネオ島の熱帯雨林減少の大きな要因である「アブラヤシ農園の開発/パーム油」について発信します。