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動物虐待対応強化のために。 虐待問題に取り組む、日本獣医生命科学大学の田中先生に、寄附&お話を伺ってきました!

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photo by 半沢 健

先日 Yahoo!ネット募金にて集まった「1,027,024円」を、日本獣医生命科学大学で虐待問題に取り組んでおられる、獣医学部 准教授の田中先生に寄附&お話を伺ってきました!

田中先生は、2021年6月より当財団でスタートした「Animal SOSプロジェクト」にご協力頂いており、様々な局面で貴重なご意見・アドバイスを頂いております。
SOSプロジェクトでは、Yahoo!ネット募金(https://donation.yahoo.co.jp/detail/5043002)を通じた「現場で動物虐待に対応できる行政獣医師を含む獣医師の育成、虐待対応を行う動物虐待専門家への支援」を行っておりますが、専門家=田中先生です!

動物愛護管理法改正後の変化や、Yahoo!ネット募金の資金使途についてお話を伺いましたので、ご紹介いたします。

 

動物愛護管理法が改正され、2020年より動物の虐待等に対する罰則が強化されました。
厳罰化されたことにより、警察の意識が高まっていると感じる一方で、現場で対応する獣医師が追いついていないと感じる面もあるといいます。

獣医師になるためには、6年間大学で学び、その後国家試験の合格が必須となりますが、これまでその教育の過程で、動物虐待の事例を学ぶ場はほとんどなかったそうです。
そのため、多くの獣医師にとって実際に怪我を負った動物を見た時に、これが虐待であるのか事故であるのか判断することは非常にむずかしいそうです。

 

行政獣医師にとって最も大切なことは虐待を見過ごさないことであると田中先生は仰っています。田中先生が中心となり「動物虐待等を含め、適正飼養を視察/監視/指導できる認定獣医師制度の確立を目的とし設立された」PHES(Population Health and Education Services)委員会では、虐待対応ができる獣医師を増やすべく、定期的に講習会等を行う環境を鋭意整備中です。

「虐待の判断は無理する必要はなく、分からなければ大学に聞いて欲しい。一番問題なのは、聞かずに“虐待でない“と判断してしまうケースである。そうならないために、まずは、判断に困った時は大学へ連絡をするというルート作りをしたい」と田中先生は仰っておりました。

また、行政は定期的に担当者が変わります。だからこそ講習会等の継続的な教育が必要とも仰っておりました。

また、これからの行政に期待することとして、行政には行政にしかできないことの活動を広げて欲しいとも仰っておりました。

例えば、しつけ教室や譲渡会、もちろんこういった活動も必要ではありますが、民間団体でもできることです。しかし、立ち入り調査は、民間ではすることができません。
行政は、令状がなくても入ることができ、ある意味警察とは違った権限を持っているともいえます。行政の方には行政の方にしかできないことに是非力を入れて頂きたいと仰っておりました。

 

また、虐待を目にするのは行政獣医師だけではありません。街の獣医師もその一つです。
昨年 大阪で飼い猫にアルコールをふきかけ、その後火をつけ、全身に大火傷を負わせたという猫の虐待事件がありました。本件は虐待をした飼い主自らが、動物病院に持ち込み、獣医師の通報によって明るみになりました。

本件は獣医師の勇気ある通報がありましたが、トラブルを懸念して通報を躊躇ってしまうことが多いそうです。日本よりも前から虐待通報義務があったアメリカでも、実際街の獣医師が通報することはほとんどないそうです。転院されてしまうと追うことができない点も問題であると仰っておりました。

まだまだ課題は沢山ありますが最近は動物虐待の事件があると、例えば若い検事の方が現場に足を運ばれたりと、非常に積極的な関係者が増えたと感じるそうです。
動物愛護・福祉の世界はこの数年数十年で大きく変化していることは確かです。

 

他にも、日本獣医生命科学大学では、虐待が疑われる動物の不審死体の解剖等や、虐待が疑わしい現場へ捜査に行くこと等をしています。

Yahoo!ネット募金で皆様より頂いたご寄附は、基金のページにあるように、動物虐待に対応するための獣医師の人材育成や動物虐待罪対応として使用されています。
具体的に、動物虐待罪の対応については、虐待事件の証拠として預かっている動物の管理費や、現場への捜査同行費等です。警察より依頼があった現場へ行かれるとのことですが、田中先生だけでなく、研究室に所属している学生(未来の獣医師)も一緒に連れて行かれるそうです。将来 虐待問題に対応できる獣医師の育成に繋がっておりますね。

また、他には人材育成として、活動に関する冊子作成等の費用にも充てられております。

 

当財団では、今後も田中先生の活動をサポートさせて頂きたいと思っております。
引き続き、Yahoo!ネット募金を通じて、現場で動物虐待に対応できる行政獣医師を含む獣医師の育成、虐待対応を行う動物虐待専門家への支援を行っております。
https://donation.yahoo.co.jp/detail/5043002
皆様からの温かい、ご支援・ご賛同お待ちしております!

 

また、田中先生は、フォスターアカデミーやポッドキャストでも講師としてお話してくださっております。ポッドキャストでは、代表理事の滝川クリステルと対談しております。
よろしければ是非お聴きください!

ポッドキャスト