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鉛中毒から猛禽類を守るために~規制について~

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photo by 半沢 健

前回は、「なぜ鉛中毒になるのか、猛禽類医学研究所について」投稿したところ、多くの方にご覧いただきました。誠にありがとうございます。⁡
今回は、「鉛中毒から猛禽類を守るために~規制について~」ご紹介致します。⁡

北海道では、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(以下、鳥獣保護管理法)第15条第一項の規定に基づき、鉛製ライフル弾及び7mm以上の鉛製散弾(以下、当鉛弾)を使用した猟法が禁止されています。また、「北海道エゾジカ対策推進条例」により、2016年10月~エゾジカを捕獲する目的で当鉛弾の所持も禁止されています。⁡

先日ご覧頂いたリポスト動画は、北海道で発見された鉛中毒に苦しむオジロワシですが、規制対象外である5mm程度の散弾銃を食べてしまった可能性が指摘されています。⁡
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猛禽類医学研究所・齊藤慶輔獣医師:「水鳥用の(粒の小さい)散弾銃をシカ猟で使う⁡
と思っていなかった。海ワシ類の鉛中毒はなくなっていない現状。実はこのような抜け道⁡
があったのかと、初めて知りました」。⁡
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(HTB北海道ニュース 一部抜粋)⁡

北海道以外についても、水鳥の主要繁殖地等の水辺については、「鉛弾使用禁止区域」が設けられています。⁡

しかし、全国レベルでの規制は、残念ながら現時点で存在していません。⁡
全国レベルでの規制必要性は、長年の議論されてきたものの、代替弾の安定供給の問題、値段や鉛弾と比べた威力等を理由として、なかなか実現しませんでした。⁡
当財団は微力ながら猛禽類医学研究所と共に、鉛弾使用禁止の署名活動を行っていました。⁡

2021年9月、環境省は2025年以降、全国で鉛弾使用を段階的に規制し、2030年までに鉛中毒発生ゼロを目指す方針を示しました。2025年~に向けた検討がまさに今、行われているところなのです。⁡

上記方針は非常に喜ばしいものですが、2025年までは全国レベルでの規制が無いことも事実。鉛中毒をなくすためには、ハンターの方々が鉛狩猟を行うにあたって、鉛弾が与える影響について理解し、できる限り銅製など代替弾を使用する、獲物の残滓の適切な処理※をし猛禽類などによる誤食を防ぐ等が必須です。⁡
※鳥獣保護管理法に環境省令で定める場合を除き、放置してはならない旨の規定があります!⁡

そして、2025年までもそしてそれ以降も、私たちひとりひとりが、理解し、問題意識を持ち、注目し続けることも重要になります。⁡

本来、ハンターは“野生鳥獣に対する深い理解と感謝の念を持ち、とらえた獲物を「いただく」ことを大切にし”ていると言われます。そして近年では、社会的役割も担っていると言われています。ニホンジカ等特定の鳥獣や外来種の個体数が増え(シカについては、狼の絶滅、気候変動等、様々なことが原因で死亡率が低下したと言われる。)、生態系や農林水産業等への被害が深刻になっており、狩猟は、個体数調整の手法の1つとも考えられているためです。https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/about/⁡
しかし、希少猛禽類を含め、その地の希少種も含めた生物達に影響を与えてしまっては、本末転倒なのです。