クリステル・ヴィ・アンサンブル

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Volunteer’s Report 005 アニマル・ウェルフェア サミット2017に参加してきました

クリステル・ヴィ・アンサンブルの活動を支えてくださっているボランティアのお一人である 八巻 千鶴子さんからさんから寄せられたレポートをご紹介します。

 

「アニマル・ウェルフェア サミット2017に参加してきました」

 八巻 千鶴子

 

「保護犬・保護猫と暮らそう」

去る8月27日、10時半より東京大学農学部2号館にて開催された、「保護犬・保護猫と暮らそう」を聴講してきました。

料理研究家  藤野真紀子さん

女優 とよた真帆さん

横浜商科大学商学部准教授 岩倉由貴さん

MC 渋谷亜希さんのご案内により、3名の登壇者の方々のお話が始まりました。

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登壇者の方、全員が保護犬・保護猫を飼っていらして、色々な体験談を聞くことができました。

例えば、藤野さんから、保護犬の「断脚を決断した」というお話がありました。

犬にとっての幸せを考え抜いて、断脚に至るまでの経緯を聞くうちに、四つ足動物にとっての足を1本切るという選択が、果たして私にもできるだろうかと、思い悩みながら聞いていました。

岩倉先生からは、959名の方から回答を頂いた「保護犬・保護猫に関するアンケート」の発表がありました。

結果は、保護犬でも、ペットショップで購入した犬でも、犬の方が飼う時に「ハードルが高い」と感じているという回答や、保護猫には、「人に慣れていない」というイメージがあるという結果が出ていて、何がマイナスイメージなのか分かりやすく解説して下さいました。

そして、一度でも保護犬・保護猫を飼った経験がある方は、次飼う時も保護犬・保護猫を選ばれる方が多いという結果が出たと聞いて、どこかホッとしました。

 

なかでも印象深かったのが、とよた真帆さんのある心臓疾患のポメラニアンの話です。

その保護犬は、心臓疾患があり、手術をしなければ助からない犬だったそうです。

それでも、とよたさんは、ある保護猫と一緒にそのポメラニアンを引きとり、楽しい時間を過ごしたけれども、手術中に自身の心臓の力がつき、亡くなってしまったそうです。

一緒に過ごせたのは、手術までのほんの1週間。

とよたさんは色々考えたそうです。

あげていたごはんがだめだったのか?

病院がいけなかったのか?

手術させたタイミングがいけなかったのか?

自分の何がいけなかったのか?

とよたさんが一言発するごとに、いつか自分が見送った猫達が記憶の中から蘇り、そしてまた、自分をおいて先に逝ってしまったことを思い出しました。

ペットを失った時に、きっと誰もが一度は思うこと。

 

――あの時こうしていれば……

 

ペットを亡くす辛さや後悔は、飼い主であれば必ず経験することです。

亡くなった原因が、全て自分にあるような気がして、飼い主は自分を責めます。

ペットは、何も語ることはできません。

でも、どちらも頑張ったのです。

飼い主もペットも互いに頑張った末に、ペットは生を全うして先に逝ってしまうのです。

とよたさんの言葉に導かれ、私はいつしか記憶の中にある「あの日、あの時」に引き戻されていました。

 

引き取ったポメラニアンが、最後に家庭の幸せを感じることができたのは良かったと、とよたさんは話を結びました。

私は、思わず息を止めました。

ポメラニアンを、どれだけ慈しんできたのか。

どれほどの時間をかけて、悲しみを乗り越えてきたのか。

とよたさんの静かな一言で、十分伝わってきたのです。

気付けば、私はハンカチを探していました。

鞄からハンカチを取り出す、ほんの少しの間、会場内が優しさで満たされたような気がしました。

それは祈りにも似て、見たことのないポメラニアンと、それぞれの心の中にいる「先に逝ったペットたち」を、再び見送ったような感じがしました。

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登壇者の方の保護犬・保護猫との出会いや生活の話を聞いているうちに、ペットがそれぞれの家族となっている様子が浮かんできました。

もちろん、楽しいお話だけではなく、お互い歩み寄るために、しんどかった時期のお話もありました。

人間との暮らしにあまりいい思い出のない保護された犬や猫でも、お互いの折り合いのつくところで、平和な一日が送れるのなら、それはいい出会いであるはずだと信じている、と藤野さんが仰っていました。

そして、保護犬・保護猫への「自分のハードル」を見極めることが重要だと指摘されていました。

そのハードルが高いのか、低いのかは人それぞれだと思います。

もしくは、ハードルは無いと思った人もいたかもしれません。

ただ、保護犬と保護猫が存在していることから目を背けずに、考えるきっかけを頂いたことが、一番大切なことなのかもしれません。

――自分に何かできるだろうか?

プログラム終了後、皆さんがそう考えているといいなと思いながら、教室を後にしました。