当財団は、設立時より、認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンさんの活動に賛同し支援を続けてまいりました。
2023年5月より、新たな試みとして、ボルネオ保全トラスト・ジャパンさんと一緒に「新ボルネオ通信」をシリーズで発信してまいります。
このシリーズでは、ボルネオのこと、ボルネオが直面している問題、問題に対するボルネオ保全トラスト・ジャパンさんの活動、そして当財団が行っている支援などなど、幅広く発信予定です。
ボルネオの問題には、知らず知らず私たちも関わっています。
シリーズで発信を続けることによって、多くの方にまずはそのことを知っていただき、支援の輪が広がったら嬉しく思います。
第3回の投稿で、パーム油が、世界で最も生産されている植物油であるとご紹介しました。
でも、オリーブ油やゴマ油、菜種油等はよく耳にするし店頭に並んでいるけれど、え?パーム油が世界で最も生産されているって本当??と思われた方もいるのではないでしょうか。
日本も、年間約70万トンのパーム油を輸入しています。日本で一番消費されている植物油は菜種油で、パーム油は菜種油に次ぐ第2位。大豆油やコメ油よりも多く使われているのです。それでも見たことも聞いたことない、という方もいると思います。
https://www.bctj.jp/2017/wp-content/uploads/2023/02/Palm2021.pdf
実は、パーム油は、そのまま使われることよりも、加工食品、洗剤、化粧品等に含まれていることの多い、いわゆる「見えない」油なんです。
インスタント麺やお惣菜、スナック菓子、アイスクリーム、チョコレート、マーガリン、パン、粉ミルク等の食品から石鹸、歯磨き粉、ファンデーションや口紅、洗濯用洗剤、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ等の日用品に加え、塗料や潤滑油、接着剤、医薬品など、我々の日々の生活に欠かせない、本当に身近な食べ物や日用品の材料としてパーム油は使われています。
上記に記載した食べ物がもしお手元にあれば、原材料名欄を見てみてください。
ここでもパーム油が「見えない」油、と言われる所以が・・・!
原材料名欄に、パーム油の表記を見つけられなかったのではないでしょうか。
でも、その代わり、「植物油」「植物脂」「植物油脂」という記載がありませんでしたか?
2015年4月、食品表示法が作られましたが、この制度のもとでは、加工品の原料として使用された植物油は、その名称を明記することが必須ではなく、「植物油」「植物脂」「植物油脂」のいずれかで記載すれば良いのです。
日本農林規格・品質表示基準によると、食用植物油脂は、食用サワフラワー油、食用ぶどう油、食用大豆油、食用ひまわり油、食用とうもろこし油、食用綿実油、食用ごま油、食用なたね油、食用落花生油、食用オリーブ油、食用パーム油、食用パームオレイン、食用パームステアリン、食用パーム核油、食用やし油、食用調合油、香味食用油の計18種。
参照元:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_01_syokyu_160224.pdf
この中から1種類だけ、または複数を混ぜたどの油を使ったとしても「植物油脂」等と記載すれば良いのです。具体的な植物油名を知りたければ商品のウェブサイトを自分で調べたり、企業のお客様相談室に直接問い合わせたりするしか方法がなく、消費者にとっては不便と言えるでしょう。
ただし、最近は自主的に植物油名を表示している企業もあります。小さな食品表示ひとつとっても、企業の姿勢が現れているのです。
次回は、「アブラヤシ農園の開発/パーム油」の後編として、パーム油生産(農園開発)の問題と持続可能なパーム油の生産・利用について発信いたします。